家族会として声をあげていく

家族会として声をあげていく

高次脳機能障害友の会ナナ 理事長 外﨑 信子

社会全体がコロナ禍前の状況に戻っていく流れの中で、令和 5 年度のナナの会の活動について振り返ってみたいと思います。
この 1 年、少しずつ従来通りの活動を再開して参りました。ようやく顔を合わせる機会が増えてきて、皆一様にほっとする場面や、数年ぶりの近況報告を交わしながら、その間の変化や戸惑いや将来的な不安を口にするご家族もおられました。
もちろん、会員の皆様の状況が皆同じというわけではありません。受傷、発症の時期が乳幼児期の方もおられるし、最近では後期高齢と呼ばれる80歳近い方も高次脳機能障害と診断されている例もあり、家族会への相談内容の年齢的な幅も広がっています。
ただ以前よりも、困りごとが起きた時、当事者・家族が積極的に地域の相談機関に入ってもらい、いち早く対応策を検討してもらうというような動きがみられるようになったこと、また、地域の支援機関がそうした困りごとを受け止め、関わってもらえるようになったことは大きな変化だと感じます。今後、「親なき後」「介護者なき後」を見据えた時、地域の支えは必須であると思うので、「将来の不安の払拭」に向けて、家族会としても今の流れを推し進めていきたいと思います。
又、いろいろの集まりを催している中で最近、介護保険サービスについての話題や質問が出る度合いがとても増えてきています。親世代が介護保険サービスを利用する年代に入ってきているからなのか、ナナの会設立時からの当事者の方たちも中高年に差し掛かってきたからなのか、はたまた高齢になってからの脳卒中等が原因で「高次脳機能障害」と診断される方が増えてきているからなのか。せっかくのご質問に答えられるようしなければと反省することもしばしばです。
様々な変化を感じられたこの1年でしたが、今後は「高次脳機能障害者支援法」の制定に向け、全国の家族会が声を上げ続けていくことが求められています。何年も前になりますが「この国の福祉の政策は国の役人が作ってきたのではなく、家族会が声に出して求めてきたことを、形にしてきた結果として、今の福祉政策があり、未来の福祉を作るのは、家族会が声を出し続けていくことによって形作られる」という内容の話を聞いて、家族会の一人として、身の引き締まる思いをした思い出があります。
さて、これから迎える年度では、ナナの会としてどのような活動ができるのか役員の高齢化など不安な一面もありますが、会員の皆様に支えられながら、道が途切れてしまわないように、歩んでいきたいと思っております。

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